2015年02月15日

「ひなどりダイアリー」(日影)

【ヒナガラス共存】
烏野の町に住むと『護りカラス』が与えられる。一人につき一羽、その人だけの護りの一羽。それぞれの『護り烏』は付いてる当人とその『親しい』人間にしか視えない。一生を共に過ごし、ついてる人間が死ぬと共に【死ぬ】という、ややファンタジー系の霊的なもの。                                                           という設定でお読み下さい。





おや、と思って目をこらすと、黒い小さな塊みたいなものが影山にくっついているのが見えた。日向は目をしばたいてもう一度影山にチラッと視線を投げる。
(なんだろ?・・・・・気のせいじゃないよなー・・・・・影山の側になんかいる・・・・・)
肩に、頭に、場所をちょこちょこ変えて何かが動いている。が、そこまで考えて、はたと気づいた。
(もしかして、おれにも視えてる?・・・・・・影山の護り烏)
どうして今日になって視えるようになってるのか分からないけれど、そろそろそういう時期なのかもしれない。日向は自然と笑みがこぼれる。もっと近づけるチャンスを願った。


(日向の頭に何かいる・・・・・)
影山は最初そう思った。各自休憩でスポドリを飲みながら何気なく見た日向の後ろ姿。背を向けて立っている日向の頭の上に黒っぽい小さな何かがいて、それは影山の目の前でちょんちょんと動いた。
(あ?! 日向の護り烏か?!)
なぜか今日になって視えている。視線を感じたのか向きを変えてこちらに正面を見せたそれは、確かに小さな鳥だった。ジッと見入ったら、主と似た明るい色の羽毛を冠した雛ガラスもこっちを見返した。
(わ、他人の雛ガラスもこう見えるのか)
ちょこんと頭の上に乗り首をかしげてこちらをみている。当の日向はまだ熱心に立ったまま先輩達の練習を見ていた。互いに見つめ合い・・・・影山は思わず一歩近寄り、手のひらを烏の方に差し出してみた・・・・・すると雛ガラスは、待ってたかのように躊躇する様子も見せず。案外あっさりと、ふわりと跳ねて手の上に乗ってきた。
(うわあ・・・・・)
ちょこんと座り怖がりもせず日向の雛ガラスは影山を見上げてくる。もう片方の手で恐る恐る頭を撫でてみたら、おとなしく撫でられている。それどころか近づけた手のひらに頭を擦り寄せるような仕草をした。
(!!・・・・・カワイイ!!)
そんな感情に胸がきゅんとなる。
「あれ? 影山おれの雛ガラス視えてんの?!」
と、日向の声が飛んできた。ハッとして振り向くと、こちらの動きに気づいた日向が目をキラキラさせて影山を見つめていた。
「あ、お、おう。いや気づいたの今だけど」
答えると途端にぱあっと日向は笑顔になる。
「やったあ!! 影山がおれのヒナガラス視えてんの嬉しいな!! な、なあ、お前んとこの雛ガラス、その肩に隠れているの、そうだよな? おれもそっち触っていい?」
ハッとして影山は日向を見返す。
「お前も俺の視えてんのか?」
「うん! ちょっと前から何かいるなあって」
「そうか。いいぜ」
答えると日向は本当に嬉しそうに影山に近寄り、その肩に向けて左手を差し出した。
「おいで」
日向が声をかける。影山の首の後ろに隠れるようにして肩から顔を覗かせていた小さな塊は、ぴょんと全身を現した。艶やかな漆黒の羽の雛ガラス。期待を込めて見つめる日向を見つめ返して、それからまた軽くジャンプした。
「うわあ」
日向は手のひらに乗ってきた影山の雛ガラスを満面の笑みで迎える。
「可愛いなーー」
そう言いながら日向ももう片方の手で頭を撫でる。漆黒の雛ガラスは気持ち良さそうに擦り寄る仕草をした。
「うへへ、可愛いー」
「そ、そんなに可愛く見えるか?」
「うん!! すっげー可愛い!!」
「そ、そうか・・・・・」
無邪気で照れもしない日向は真っ直ぐ影山を見上げる。そして、ふと、日向は気づく。
(あれ? なんか影山いつもと違う?・・・・・)
影山もこちらの雛ガラスを手のひらに乗せて撫でている・・・・・
「あーーっっ」
いきなり日向は声を上げた。
「な? なんだ?!」
と言ったのは勿論人間だけで、二羽の雛ガラスの方はたいして驚きもせずきょとんと見上げている。
「なんか影山の顔眉間にシワ無い! すっげえ優しい顔してる!!」
「はぁ?!」
「なに?! なんでそんなにデレ全開なの?! ヒナガラスだから?!」
「な、なに言ってんだお前」
日向は今度はむーっとした顔をしている。影山は、日向と、手の上のヒナガラスを交互に見て言った。
「お前の雛ガラスだし・・・・・・なにワケ分からんこと言ってんだボゲェ」
「な・・・・・なんか悔しいんですけど影山さんっ」
日向の手の上でピィと影山の雛ガラスが鳴いた。
「お、あっと、ごめん、お前もすっげー可愛いよ〜〜!!」
いきなり蕩けた顔になって日向はそう言ってまた撫でてやる。
「お前こそクソ恥ずかしーセリフ言ってんじゃねえよっ」
「えー? なんでだよー?」
影山の顔がちょっと赤い。そこに菅原が笑いながら近付いてきた。
「二人ともまた何を・・・・・・あれ?」
菅原は二人の手元に目を向ける。日向と影山は、先輩の顔の横の空間を見つめた。
「うわー!! めんこいなーー!!」
後輩二人の護り烏を両手に乗せて副主将はご満悦である。
【書きもの(ハイキュー)の最新記事】
posted by 大空綾 at 17:55| Comment(0) | 書きもの(ハイキュー)
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